「子どもに日焼け止めって塗ったほうがいいの?」「肌に負担にならない?」近年、紫外線量の増加や美容意識の高まりとともに、子どものUVケアについて考える機会が増えています。一方で、まだ成長途中の肌にとって本当に必要なのか、不安に感じる声も少なくありません。そこで今回は美容皮膚科の第一人者、医師の船坂陽子先生に、子どもの正しい紫外線対策について教えてもらいました。

▼何歳から日焼け止めが必要なのか?
船坂)外遊びが増える時期、目安として3歳頃から検討されることが多いです。この時期になると外で遊ぶ時間が増え、紫外線を浴びる機会が一気に増えるため、日焼け止めの使用を検討してよいとされています。赤ちゃんから2歳くらいまでの間は、基本は衣類や日陰での対策が優先されますが、長時間の外出時などには低刺激の日焼け止めを併用することもあります。帽子や衣服、日陰を利用するなど、物理的に紫外線を避ける方法で十分対応できるケースが多いからです。一方で、小学生になると状況は変わります。外遊びやプール、レジャーなど、長時間紫外線を浴びるシーンが増えるため、日焼け止めはより現実的な対策になってきます。ちなみに紫外線対策の先進国、オーストラリアでは学校などで日焼け止めの使用が強く推奨され、教室に常備されているなど、子どもの頃から紫外線対策が徹底されています。
▼子どもが紫外線を浴びるリスクは?
船坂)紫外線はその場で日焼けするだけではなく、紫外線によるダメージは蓄積していきます。。これまでに浴びてきた紫外線の量は、将来のシミやそばかす、さらには皮膚の老化とも関係しているといわれています。特に、肌が白く赤くなりやすい子や、日焼けするとヒリヒリしやすいタイプの子は、紫外線の影響を受けやすいため、より注意が必要です。すぐに大きな変化が見えるわけではなくても、日々の積み重ねが将来の肌に影響するのではないかという視点で考えることが大切です。

▼子どもの日焼け止めはどうやって選べばいいの?
船坂)敏感肌の場合は紫外線散乱剤(いわゆるノンケミカル)タイプが合うことがあります。紫外線吸収剤を使っていない日焼け止めで、比較的肌への刺激が少ないとされています。紫外線吸収剤は、まれに肌に合わない場合があり、刺激を感じることがあります。そのため、特に肌が敏感な子どもには、よりやさしい処方のものを選ぶことが安心です。あわせて意識したいのが、「石けんで落とせるかどうか」。落としにくい日焼け止めは、クレンジングの際に肌へ負担がかかりやすくなるため、子どもにはシンプルに落とせるタイプが適しています。

▼SPF値などは気にした方がいいの?
船坂)日焼け止めというと、つい「SPFが高いほうがいい」と考えがちですが、実はそれだけで判断するのはおすすめできません。SPF値が高いものは、紫外線防御力が高い分、落としにくい処方になっていることもあります。つまり、落とす際にしっかり洗う必要があり、その過程が肌への負担になる可能性もあるのです。子どもの場合は、「どれだけ防ぐか」だけでなく、「どれだけやさしく使えるか」「きちんと落とせるか」という視点も同じくらい大切になります。
▼おすすめの塗り方は?
船坂)顔や腕はしっかり塗っていても、耳の後ろや首の後ろ、うなじなどは忘れられがち。実はこうした部分こそ紫外線を受けやすく、日焼けしやすいポイントでもあります。また、日焼け止めは汗や水、タオルで拭いた後などはこまめに塗り直すことが大切です(目安として2〜3時間ごと)。さらに、帽子や衣類といった物理的な対策を組み合わせることで、より効果的に紫外線から肌を守ることができます。子どもの紫外線対策において大切なのは「やりすぎること」ではなく、「正しく守ること」。無理に強いものを使う必要はなく、年齢や生活スタイルに合わせて、無理のない範囲で取り入れていく。それが結果的に、将来の肌を守ることにつながります。
▼今回お話を伺ったのは…
【船坂陽子先生】

池袋西口病院院長・美容皮膚科部長/日本医科大学・名誉教授/日本皮膚科学会認定美容皮膚科・レーザー指導専門医
1984年神戸大学医学部卒業、医学博士。米国エール大学、シンシナティ大学留学。2024年4月より日本医科大学名誉教授。医療法人社団ENEXT 池袋西口病院 美容皮膚科部長を務める。専門は色素細胞の生物学、美容皮膚科学、光生物学で、国際色素細胞学会理事、日本光医学光生物学会理事、日本美容皮膚科学会名誉会員、日本レーザー医学会理事などに着任している。