美容皮膚科医に聞く「10代のコスメ どこまでOK?」【後編】

美容液、シートマスク、気になる成分…。SNSを見ていると、試してみたくなる美容アイテムが次々に出てきますよね。「パックは毎日したほうがいい?」「お母さんの美容液、ちょっと借りるくらいならOK?」「100円ショップのコスメって使っていいの?」前編に続いて、美容皮膚科「リゼクリニック」の山村鈴奈先生に、10代が気になるスキンケアの疑問を聞きました。ポイントは、“流行っている=自分の肌にも必要”ではないということでした。

Q 10代も美容液や乳液を使ったほうがいい?

山村先生:小学生や中高生のスキンケアは、低刺激の保湿剤で肌のうるおいを保つことが基本です。美容液や高濃度の有効成分を配合した製品も基本的には必要ありません。特にレチノールや高濃度のビタミンC、ピーリング成分など、刺激の強い成分を配合した製品は、子どもの肌には刺激となることがあるため、自己判断で使用することはおすすめできません。乳液は必ずしも必要ではありませんが、肌が乾燥しやすい場合は、化粧水だけでなく、乳液やクリーム、ワセリンなどを肌の状態に合わせて取り入れるとよいでしょう。一方で、皮脂が多くベタつきやニキビが気になる場合は、油分の多いものをたくさん重ねるのではなく、さっぱりとした使用感の保湿剤を選ぶことをおすすめします。また、「ノンコメドジェニックテスト済み」(※ニキビの初期段階となる毛穴詰まりが起こりにくいかを確認するテストが行われた商品)と表示された製品を選ぶことも、選択肢のひとつです。

Q インフルエンサーが毎日パックしてるけど子供もやって大丈夫?

山村先生:フェイスパックやシートマスクは、乾燥が気になるときの保湿ケアとして取り入れてもよいでしょう。ただし、毎日使用する必要はなく、肌の状態に合わせて使用してください。使用する際は、製品に記載された使用時間を守り、長時間つけたままにしないようにしましょう。また、使用後は乳液やクリームなどで保湿し、水分の蒸発を防ぐことも大切です。パック中や使用後にヒリつきや赤み、かゆみなどの刺激を感じた場合は、すぐに使用を中止してください。商品を選ぶ際は、香料やアルコールなど刺激になりやすい成分が少ない、シンプルな保湿タイプを選ぶと安心です。

Q お母さんのデパコス(化粧水や美容液)を借りてもいい?

山村先生:大人が使用している化粧水や乳液、美容液などのスキンケア用品は、子どもの肌にとって刺激になることがあります。そのため、家族と同じものを使用するのではなく、対象年齢に合った子ども向けの製品や、子どもの肌に配慮して作られた低刺激のものを選ぶことをおすすめします。子どもの肌は大人よりも皮膚のバリア機能が未発達で、刺激を受けやすい特徴があります。そのため、大人には問題なく使用できるものでも、子どもでは赤みやヒリつき、かぶれなどの肌トラブルを起こすことがあります。特に、レチノール、ピーリング成分、高濃度のビタミンC、アルコール(エタノール)を多く含むもの、香料が多く配合されたものなどは、刺激になる可能性があるため注意が必要です。

Q 100円ショップやプチプラコスメを使ってもいいの?

山村先生:100円ショップなどのプチプラコスメについては、使用する際は対象年齢や使用方法などを確認し、子どもの肌に合ったものを選びましょう。初めて使用するものは、腕の内側などの目立たない部分で少量から試し、赤みやかゆみなどの異常がないことを確認してから使用すると安心です。メイクをした日は、その日のうちに製品に適した方法でやさしく落とし、肌の状態に合わせて保湿することも大切です。

Q 最後にメイクをしたいティーン・親御さんにメッセージをお願いします

山村先生:私たちが子どもの頃、大人のメイクに憧れたように、現代の子どもたちがメイクに興味や憧れを抱くことも、とても自然なことです。メイクは自己表現のひとつであり、自分の外見を通して「自分らしさを表現したい」「自信をもちたい」などの気持ちは、心の成長のあらわれでもあると思います。また、今の子どもたちはSNSなどを通じてメイクに触れる機会も多く、メイクの話題が友達同士のコミュニケーションのひとつになっていることも少なくありません。

もしお子さまがメイクに興味を持ち始めたときは、まずはその気持ちを受け止め、尊重してあげてほしいと思います。一方で、子どもは肌の特徴や化粧品の正しい使い方について、十分な知識や経験があるわけではありません。だからこそ、私たち大人が正しい知識を持ち、子どもたちが安全にメイクを楽しめるようサポートしていくことが大切です。子どもの肌の健康を守ることは、その子の将来のお肌の健康を保つことにもつながります。メイク用品の選び方だけでなく、メイクの落とし方や洗顔、スキンケア、紫外線対策、肌トラブルが起きたときの対処法、メイクをする時間やルールなどについても、ぜひ親子で話してみてください。

そして、お子さまが一人で悩みを抱え込まないよう、日頃からメイクや肌について気軽に話せる関係を築いておくことも大切だと思います。安全にメイクを楽しむ方法を一緒に考える姿勢が、お子さまにとって「困ったときは相談してもいい」という安心感につながり、肌トラブルが起きたときの早めの相談や対応にもつながります。肌トラブルを放置すると炎症が長引き、色素沈着や瘢痕が残ることもあります。一度跡が残ってしまうと改善までに時間がかかり、専門的な治療が必要になる場合もあるため、赤みやかゆみ、ヒリつきなどの異常がみられた場合は、早めに皮膚科医へ相談してください。

メイクは単に見た目を変えるだけではなく、自分らしさを見つけたり、表現する楽しさを知ったりするきっかけにもなります。そして、たくさんの情報の中から正しい情報を見極め、自分に合ったものを考え、選び取る力を身につけていくことも、大切な学びのひとつだと思っています。大人が正しい知識を伝えながら寄り添い、親子で一緒に学びながらメイクを楽しむことが、子どもの肌の健康を守るだけでなく、自分らしい健やかな心の成長にもつながっていくのではないでしょうか。

美容に興味を持つことも、メイクに憧れることも、きっと“自分らしさ”を見つけていくひとつのきっかけ。だからこそ、誰かの正解をそのままマネするのではなく、自分の肌に合うものを、自分で選べるようになること。BEAUTY TEENS JAPANも、そんなティーンの美容を応援していきます。

教えてくれたのは…

医師プロフィール
美容皮膚科『リゼクリニック』 山村 鈴奈 医師

久留米大学医学部医学科を卒業後、旭ろうさい病院、佐賀県医療センター好生館にて幅広い臨床経験を積む。一般医療の現場で培った安全性への配慮と、患者さま一人ひとりに丁寧に向き合う姿勢を大切にし、2020年12月より「リゼクリニック福岡天神院」の院長に就任、現在に至る。美容医療は外側からのケアだけでなく、体の内側の状態も大きく影響すると考え、腸内環境を意識したケアにも取り組み、患者さまへのアドバイスにも活かしている。医療としての確かな知識と安全性を重視しながら、患者さまが安心して通える美容医療の提供を心がけている。

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